クマとの共存〜身勝手による不幸

このあと行った、知床五湖にあった看板に、次のような話がつづられていました。
人間の集落近くにやってきたあるメス熊。彼女は通称「ソーセージ」と呼ばれることになります。観光客が興味本位で車の窓から投げたソーセージの味を覚えた彼女は、人間をおそれないようになります。観光客はそれを見て「かわいい」と餌を与えるようになりました。しかし、相手は凶暴性を併せ持った「神の化身」です。たびたび「人間に近づいてはいけない」と脅し、時にはクマよけのスプレーを直接かけたりした後で山に帰すなど、里に下りてこないようにし向けました。しかし、その味を覚えてしまった彼女は、人里に出てくることをやめようとせず、ついに小学校の近くでシカの死骸をあさるところを目撃されてしまいました。学校が休みの間になんとかしないと大変なことになる、ということで、彼女は射殺されました。
看板の後半には、このような言葉が並んでいました。「もっとほかになにかできることはなかったのか」後悔とも、懺悔とも思える感情が、そこにはありました。どうぞみなさん、野生動物に餌を与えないで下さい。その行為はものすごく簡単で、安直で、不幸をはらんでいます。野生と人間との共存、ではなく、人間が野生の中で生活させていただいている、ということを、改めて認識させられたエピソードでした。